Stable Diffusion Web UI拡張機能トップ10:制作効率を劇的に向上させる必須アドオン

はじめに
Stable Diffusion Web UI(通称AUTOMATIC1111のWeb UI)は、Stable Diffusionを利用するための最も人気のあるオープンソースインターフェースです。基本機能だけでも非常に強力ですが、拡張機能(Extensions)を導入することで、その可能性は何倍にも広がります。
当サイトの初心者のためのStable Diffusion導入ガイドで基本的なセットアップ方法を紹介しましたが、本記事では一歩進んで、制作効率を劇的に向上させる10の必須拡張機能を紹介します。これらの拡張機能を活用することで、AI画像生成のワークフローが格段に効率化され、より創造的な作品制作に集中できるようになるでしょう。
AI画像生成ツール比較2025でも触れたように、Stable Diffusionの最大の魅力のひとつは拡張性の高さです。これから紹介する拡張機能を導入することで、商用利用も視野に入れた高品質な画像生成環境を構築できます。
Stable Diffusion Web UI拡張機能の基本知識
拡張機能とは?
Stable Diffusion Web UIの拡張機能は、基本機能を拡張し、新たな機能や使いやすさを追加するアドオンです。これらは主にGitHubで公開されており、Web UI内からの簡単な操作でインストール可能です。
拡張機能のインストール方法
- Web UIを起動し、上部タブの「Extensions」をクリック
- 「Available」タブを選択
- 「Load from」ボタンをクリックして拡張機能リストを更新
- 目的の拡張機能を検索するか、URLからインストールが可能

拡張機能使用時の注意点
- 拡張機能によってはGPUメモリを多く消費するものがあります
- 相性の悪い拡張機能の組み合わせでエラーが発生する場合があります
- 定期的な更新が必要な場合があります(「Check for updates」ボタンで確認可能)
- 不要になった拡張機能は無効化するとパフォーマンスが向上します
それでは、特に重要な10の拡張機能を詳しく見ていきましょう。
1. ControlNet
GitHub: Mikubill/sd-webui-controlnet
機能概要
ControlNetは、Stable Diffusion Web UIの拡張機能の中で最も革新的かつ重要なものの一つです。画像の構図、ポーズ、レイアウトなどを制御し、生成結果に高度な制約を加えることができます。
主な特徴
- エッジ検出、デプス推定、ポーズ検出などの複数の制御モードを提供
- 複数のControlNetを同時に使用可能
- 正確なポーズや構図の制御が可能
- リファレンス画像をベースにした生成が可能
使い方のポイント
- ControlNetモデルをダウンロードして所定のフォルダに配置
- プリプロセッサを選択(Canny、OpenPose、Depth、Segmentationなど)
- 入力画像をアップロードしてプリプロセッサを適用
- 強度とガイダンス開始・終了ポイントを調整

実践アイデア
- 特定のポーズや構図を再現したいキャラクターイラスト
- 建築物や風景のレイアウトを保持しつつスタイルを変更
- 手や顔などの細部を正確に制御した人物画像
ControlNetを活用した画像編集テクニックについては、AI画像編集の始め方の記事も参考になります。
2. Image Browser
GitHub: AlUlkesh/stable-diffusion-webui-images-browser
機能概要
Image Browserは生成した画像を効率的に管理・閲覧するための拡張機能です。デフォルトのWeb UIでは画像管理機能が限られていますが、この拡張機能を使えば、多数の画像を整理し、メタデータを確認することが容易になります。
主な特徴
- 生成した画像をサムネイルグリッドで表示
- 画像に関連するプロンプト、設定、モデル情報などのメタデータ表示
- 画像のフィルタリングと検索機能
- 複数画像の一括操作(削除、移動、コピーなど)
使い方のポイント
- Web UIの上部タブに追加される「Images Browser」をクリック
- 参照したいフォルダを選択
- サムネイルをクリックして画像とそのメタデータを表示
- 右クリックメニューから様々な操作が可能
実践アイデア
- 成功した画像生成設定を素早く参照
- 類似画像をまとめて管理
- プロジェクト別に生成画像を整理
3. Additional Networks for Hypernetworks
GitHub: kohya-ss/sd-webui-additional-networks
機能概要
Stable DiffusionのLoRAやTextual Inversionなどの追加ネットワークモデルを簡単に管理・適用するための拡張機能です。これにより、特定のスタイルや被写体を簡単に生成に取り入れることができます。
主な特徴
- LoRA、Textual Inversion、Hypernetworkを一元管理
- プレビューと簡単な適用方法
- 複数のモデルを同時に適用可能
- 適用強度の調整が直感的に可能
使い方のポイント
- モデルファイルを指定のフォルダに配置
- Web UIのほとんどの画像生成タブに追加される「Additional Networks」セクションを展開
- サムネイルを選択してワンクリックで適用
- スライダーで適用強度を調整
実践アイデア
- Civitaiなどから入手したLoRAモデルを効率的に管理・使用
- 独自の画風LoRAと被写体LoRAを組み合わせて使用
- 複数のモデルを微妙な強度調整で混合
Civitai Proでは、高品質なLoRAモデルが多数提供されています。プロアカウントを利用することで、ダウンロード制限なくモデルを活用できます。
4. Prompt Travel
GitHub: Kahsolt/stable-diffusion-webui-prompt-travel
機能概要
Prompt Travelは、2つ以上のプロンプト間をスムーズに遷移させ、アニメーションやモーフィング効果を生成できる拡張機能です。プロンプト間の「旅」を通じて、創造的なトランジションを作成できます。
主な特徴
- 複数のプロンプト間を自動補間
- フレーム数や補間方法のカスタマイズ
- 生成された画像を自動的にGIFやビデオに変換
- シード値やその他のパラメータも段階的に変化させることが可能
使い方のポイント
- 「Prompt Travel」タブを選択
- 始点と終点のプロンプトを入力
- フレーム数と補間方法を設定
- 必要に応じて中間プロンプトを追加
実践アイデア
- ある季節から別の季節への風景の変化を表現
- キャラクターの表情や姿勢の微妙な変化をアニメーション化
- 抽象的なコンセプトから具体的なイメージへの変化を視覚化
5. Deforum
GitHub: deforum-art/deforum-for-automatic1111-webui
機能概要
Deforumは、Stable Diffusionで動画やアニメーションを生成するための包括的な拡張機能です。3Dカメラモーションや時間経過によるプロンプト変化など、複雑なアニメーション効果を実現できます。
主な特徴
- 3Dカメラモーション(ズーム、回転、パンなど)
- プロンプトのキーフレームアニメーション
- シードのマスキングとモーフィング
- 多様な動画出力形式
使い方のポイント
- 「Deforum」タブを選択
- アニメーションの種類(2D/3D)を選択
- プロンプト、モーション、フレーム数などを設定
- 高度な動画生成のためのキーフレームを設定
実践アイデア
- 幻想的な風景を飛行・探索するような体験型映像
- コンセプトアートのスタイル変化を記録
- 音楽MVやショートフィルムのビジュアル生成
6. Dynamic Prompts
GitHub: adieyal/sd-dynamic-prompts
機能概要
Dynamic Promptsは、プロンプトにランダム要素や変数を導入し、多様なバリエーションを自動生成するための拡張機能です。一度の実行で多様な結果を探索したい場合に非常に便利です。
主な特徴
- ランダム選択構文({option1|option2|option3})
- ワイルドカードとテンプレート機能
- 条件付きプロンプト生成
- マジックプロンプト(AIによる自動プロンプト拡張)
使い方のポイント
- プロンプトに変数やランダム要素を含める構文を使用
- 「Dynamic Prompts」タブで高度な設定を行う
- 独自のワイルドカードファイルやテンプレートを作成
実践アイデア
- 多様なキャラクターバリエーションの効率的な生成
- 背景や小道具のランダム化による環境の探索
- AIによるプロンプト拡張で新しいアイデアを発見
7. Ultimate SD Upscaler
GitHub: Coyote-A/ultimate-upscale-for-automatic1111
機能概要
Ultimate SD Upscalerは、生成した画像を高解像度化するための高度な拡張機能です。通常のアップスケーリングに加え、タイル処理や詳細の強化など、多くのオプションを提供します。
主な特徴
- 複数のアップスケーリング方法(SD、ESRGAN、その他)
- タイル処理による大型画像の効率的な処理
- ディテールの保持と強化機能
- バッチ処理に対応
使い方のポイント
- 「Ultimate SD Upscale」タブを選択
- アップスケーラーの種類と倍率を選択
- タイルサイズや重複率などの詳細設定を調整
- 必要に応じてマスクを適用
実践アイデア
- SNS用の高解像度イラスト作成
- 印刷用の高品質画像生成
- 大型ポスターやバナーの詳細な画像制作
8. Regional Prompter
GitHub: hako-mikan/sd-webui-regional-prompter
機能概要
Regional Prompterは、画像の異なる領域に対して別々のプロンプトを適用できる拡張機能です。これにより、一枚の画像内で異なるスタイルや内容を持つ複合的な作品を生成できます。
主な特徴
- 画像を複数の領域に分割
- 領域ごとに異なるプロンプトを適用
- マスクによる細かい領域指定
- 複数の分割方法(格子状、縦横など)
使い方のポイント
- 「Regional Prompter」を有効化
- 分割方法と領域数を設定
- 各領域に対するプロンプトを入力
- 必要に応じて領域の重なり具合を調整
実践アイデア
- マルチスタイルのイラスト(例:背景は水彩画、キャラクターはアニメ調)
- 複数のシーンや時間帯を一枚に表現
- 異なる感情や雰囲気を持つキャラクターの集合イラスト
9. Dreambooth Extension
GitHub: d8ahazard/sd_dreambooth_extension
機能概要
Dreambooth Extensionは、Web UI内で直接Dreamboothトレーニングを行うための拡張機能です。カスタムの被写体やスタイルをStable Diffusionに学習させることができます。
主な特徴
- Web UI内でのモデル学習
- LoRA、Textual Inversion、完全モデル学習に対応
- 学習済みモデルの即時利用
- トレーニングプロセスの視覚化と管理
使い方のポイント
- 「Dreambooth」タブを選択
- トレーニング画像をアップロード
- 学習設定(エポック数、学習率など)を調整
- トレーニングを開始し、進捗をモニタリング
実践アイデア
- オリジナルキャラクターの学習と生成
- 独自の画風やスタイルの学習
- 商品や建物など特定の対象を様々な状況で生成
DreamBoothのクラウドサービスを利用すれば、自前のGPUでなくても簡単にカスタムモデルを作成できます。
10. X/Y/Z Plot
GitHub: Built-in extension
機能概要
X/Y/Z Plotは、Stable Diffusion Web UIに標準で組み込まれている拡張機能で、複数のパラメータを組み合わせて一度に多数の画像を生成・比較することができます。実験や最適なパラメータの発見に非常に役立ちます。
主な特徴
- 複数のパラメータ(シード、サンプラー、CFGスケールなど)の組み合わせを一度に生成
- グリッド形式での視覚的比較
- 結果の一括保存
- 3次元まで拡張可能なパラメータ探索
使い方のポイント
- 「X/Y/Z Plot」タブを選択
- X軸、Y軸、Z軸(オプション)のパラメータと値を設定
- グリッドサイズやその他の生成設定を調整
- 生成ボタンをクリックして一括比較を開始
実践アイデア
- 異なるサンプラーとCFGスケールの組み合わせで最適な設定を発見
- 様々なシード値の効果を視覚的に比較
- 複数のLoRAやモデルの結果を一目で比較
補足:リソース管理のための拡張機能
上記の10個に加えて、特にGPUメモリが限られた環境では以下の拡張機能も非常に役立ちます:
ResetVRAM
GitHub: ahgsql/ResetVRAM
- GPUメモリを定期的に解放し、長時間の作業でも安定して動作
- メモリリークの影響を軽減
- ワンクリックでVRAMをクリア
特に4GB以下のGPUを使用している場合は必須の拡張機能です。より快適な環境を求める場合は、RTX 4070のようなGPUへのアップグレードも検討してみてください。
拡張機能の組み合わせによるワークフロー例
これらの拡張機能を組み合わせることで、効率的なワークフローを構築できます。以下はその一例です:
高品質イラスト制作ワークフロー
- ControlNet で構図やポーズを設定
- Dynamic Prompts でバリエーションを探索
- X/Y/Z Plot で最適なパラメータを発見
- Additional Networks でLoRAを適用し、スタイルを調整
- Ultimate SD Upscaler で高解像度化
- Image Browser で結果を整理・保存
アニメーション制作ワークフロー
- ControlNet でキーフレームのポーズを設定
- Prompt Travel で中間フレームを生成
- Deforum で3Dカメラモーションを追加
- Regional Prompter で部分的なスタイル変化を適用
まとめ
Stable Diffusion Web UIの拡張機能は、AI画像生成の可能性を大きく広げてくれます。本記事で紹介した10個の拡張機能を活用することで、より創造的で効率的なワークフローを構築できるでしょう。
初めは全ての拡張機能を一度にインストールするのではなく、自分のニーズに合わせて段階的に導入していくことをおすすめします。特に、ControlNetとImage Browserは最初に導入すべき拡張機能と言えるでしょう。
また、拡張機能の開発は日々進化しています。定期的に更新をチェックし、最新の機能を活用することで、さらに効率的な制作環境を維持できます。
AI画像生成のスキルを副業に活かす方法については、AIを活用した副業アイデア10選の記事も参考にしてみてください。拡張機能をマスターすることで、プロフェッショナルなAI画像生成サービスの提供も可能になります。
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