【AI入門⑤】AIに「うまく伝える」コツ:プロンプトの基本と応用
はじめに
AIツールを使っていて、「思った通りの答えが返ってこない」「もっと良い結果を出したい」と感じたことはありませんか?
実は、AIから良い回答を引き出すには「うまく伝える」コツがあります。それがプロンプトエンジニアリング——AIへの指示の出し方の技術です。
本記事では、ChatGPT、Claude、Geminiなど、どのAIツールでも使える「プロンプトの基本と応用」を、初心者の方にもわかりやすく解説します。難しい専門用語は使わず、今日からすぐに使える実践的なテクニックをお伝えします。
AI入門シリーズ これまでの記事:
– AI入門①:生成AIとは?基本の理解
– AI入門②:最初の1ヶ月ロードマップ
– AI入門③:AIツール選びで失敗しない
– AI入門④:無料で始めるAI活用
プロンプトとは?基本を理解する
プロンプトの定義
プロンプトとは、AIに対する「指示文」や「質問文」のことです。つまり、あなたがAIに話しかける内容すべてがプロンプトです。
悪いプロンプトの例:
レポート書いて
良いプロンプトの例:
大学の経済学レポートを書いてください。
テーマ:日本の少子高齢化が経済に与える影響
文字数:2000字程度
構成:序論・本論(3つの論点)・結論
参考にすべき視点:労働力、消費市場、社会保障
この2つの違い、わかりますか?良いプロンプトは具体的で詳細です。
なぜプロンプトが重要なのか
AIは「言われたことしかできない」からです。人間なら文脈を読んで補完できますが、AIには明確な指示が必要です。
プロンプトの質と結果の関係:
| プロンプトの質 | 結果の質 | 時間効率 |
|---|---|---|
| 曖昧 | 低い | 何度もやり直し |
| 普通 | 普通 | まあまあ |
| 具体的・詳細 | 高い | 一発で完成 |
良いプロンプトを書けるようになると、作業時間が1/3以下になることも珍しくありません。
プロンプトの5つの基本要素
良いプロンプトには、以下の5つの要素が含まれています:
1. 役割(Role)
AIに「どんな立場で答えてほしいか」を伝えます。
例:
あなたは経験豊富なキャリアカウンセラーです。
あなたは親切な料理の先生です。
あなたは10歳の子どもにもわかりやすく説明する科学の先生です。
効果:
役割を与えることで、AIの回答のトーンや視点が適切になります。
2. タスク(Task)
「何をしてほしいか」を明確に伝えます。
例:
以下の文章を要約してください。
プレゼン資料の構成案を作ってください。
この英文を日本語に翻訳し、ビジネスメールとして適切な形に整えてください。
ポイント:
動詞を明確に(要約する、作成する、分析する、比較する、説明する)
3. コンテキスト(Context)
背景情報や前提条件を伝えます。
例:
私は転職を考えている30代のエンジニアです。
現在の年収は600万円で、3年の実務経験があります。
この企画は中小企業向けで、予算は300万円以内です。
効果:
文脈を理解することで、より的確な回答が得られます。
4. 制約条件(Constraints)
守ってほしいルールや制限を伝えます。
例:
文字数:500字以内
締切:3日後
予算:10万円以内
対象者:初心者
トーン:フォーマル
ポイント:
数値や具体的な条件を明示する
5. 出力形式(Format)
どんな形で出力してほしいかを伝えます。
例:
箇条書きで5つ挙げてください。
表形式で比較してください。
以下の構成で出力してください:
1. 概要(200字)
2. 詳細説明(800字)
3. まとめ(200字)
効果:
欲しい形式を指定することで、後から編集する手間が省けます。
実践:5つの要素を使ったプロンプト例
例1:ブログ記事の作成
悪い例:
ブログ書いて
良い例:
【役割】あなたは人気ブロガーです。
【タスク】以下のテーマでブログ記事を作成してください。
【コンテキスト】
- テーマ:在宅ワークで集中力を高める方法
- ターゲット:在宅ワーク初心者
- 目的:SEO対策とSNSシェア獲得
【制約条件】
- 文字数:1500-2000字
- トーン:親しみやすく、実践的に
- 専門用語は避ける
【出力形式】
- タイトル(30文字以内)
- 導入(200字)
- 本文(見出しH2を3つ含む)
- まとめ(200字)
例2:データ分析
悪い例:
この表を分析して
良い例:
【役割】あなたはデータアナリストです。
【タスク】以下の売上データを分析し、レポートを作成してください。
【コンテキスト】
- データ:過去3ヶ月の商品別売上
- 目的:次月の仕入れ計画策定
- 対象読者:経営陣
【制約条件】
- 客観的な数値に基づく分析
- 具体的な改善提案を含める
- 専門用語は最小限に
【出力形式】
1. エグゼクティブサマリー(100字)
2. 主要な発見事項(3-5個、箇条書き)
3. 詳細分析
4. 推奨事項(具体的なアクション)
例3:学習支援
悪い例:
数学教えて
良い例:
【役割】あなたは優しい数学の家庭教師です。
【タスク】二次方程式の解き方を教えてください。
【コンテキスト】
- 対象:中学3年生
- 現在の理解度:一次方程式は解ける
- 苦手な部分:因数分解
【制約条件】
- 専門用語は必ず説明する
- 具体例を多用する
- ステップバイステップで説明
【出力形式】
1. 基本概念の説明
2. 解き方の手順(番号付き)
3. 練習問題(3問)
4. よくある間違いと対策
プロンプトのレベル別テクニック
初級テクニック:すぐに使える基本技
テクニック1:具体的な数字を入れる
❌ 悪い例:
短い文章で説明して
✅ 良い例:
200字以内で説明してください
テクニック2:例を示す
❌ 悪い例:
キャッチコピーを考えて
✅ 良い例:
以下のような感じでキャッチコピーを考えてください:
例:"シンプルだから、続けられる"
例:"あなたの毎日に、小さな革命を"
テクニック3:段階的に指示する
❌ 悪い例:
企画書作って
✅ 良い例:
まず、企画の目的と背景を整理してください。
次に、ターゲット顧客を3つのペルソナで表現してください。
最後に、実施スケジュールを月単位で提案してください。
中級テクニック:質を高める工夫
テクニック4:思考プロセスを要求する
結論を出す前に、以下の順で考えてください:
1. 問題点の洗い出し
2. 各問題の原因分析
3. 解決策の検討(複数案)
4. 最適案の選定と理由
テクニック5:視点を変えて考えさせる
この提案を、以下の3つの視点から評価してください:
1. 経営者の視点:コストと収益
2. 現場スタッフの視点:実行可能性
3. 顧客の視点:満足度
テクニック6:制約を加えて創造性を引き出す
以下の制約条件の中で、最も創造的な解決策を提案してください:
- 予算:従来の半分
- 期間:2週間以内
- 人員:2名のみ
上級テクニック:プロレベルの活用
テクニック7:Chain of Thought(思考の連鎖)
この問題を解くプロセスを、段階的に説明しながら解いてください。
各ステップで:
1. 何を考えているか
2. なぜそう考えたか
3. 次に何をすべきか
を明示してください。
テクニック8:Few-shot Learning(例示学習)
以下の例を参考に、同じパターンで出力してください:
【例1】
入力:「明日は雨」
出力:「明日の天気は雨です。傘をお忘れなく。」
【例2】
入力:「会議が延期」
出力:「会議が延期されました。新しい日程をご確認ください。」
【あなたのタスク】
入力:「商品が完売」
出力:?
テクニック9:Self-Consistency(複数案の生成と評価)
以下のテーマについて、3つの異なるアプローチを提案してください。
その後、各アプローチのメリット・デメリットを比較し、
最適な案を1つ選んで理由を説明してください。
よくある失敗とその対策
失敗1:曖昧すぎる指示
ダメな例:
いい感じに書いて
問題点:
「いい感じ」が人によって違う
改善策:
ビジネスメールとして丁寧で、かつ簡潔に(200字以内)書いてください
失敗2:情報が多すぎる
ダメな例:
私は東京在住の35歳で、趣味は読書と映画鑑賞で、
仕事はIT企業のマーケターで、最近転職を考えていて、
年収は700万円で、家族は妻と子ども2人で...
(長い背景説明が続く)
質問:おすすめの本を教えてください。
問題点:
本質問と関係ない情報が多い
改善策:
おすすめのビジネス書を3冊教えてください。
条件:
- マーケティング関連
- 2024-2025年出版
- 実践的な内容
失敗3:一度に複数のことを頼む
ダメな例:
この文章を要約して、翻訳して、さらに改善案も出して
問題点:
どれも中途半端な結果になる
改善策:
まず、この文章を200字で要約してください。
(要約を確認してから次の指示を出す)
失敗4:AIの得意不得意を理解していない
ダメな例:
昨日のサッカーの試合結果を教えて
(2026年2月の最新情報をAIに期待)
問題点:
多くのAIは最新情報を持っていない
改善策:
– リアルタイム情報が必要なら、Perplexityなどのリサーチツールを使う
– または「一般的なサッカーのルールを説明して」など、時間に依存しない質問にする
失敗5:回答の検証をしない
ダメな例:
AIの回答をそのまま信じて使う
問題点:
AIは間違えることもある(特に数値や事実)
改善策:
この回答について、以下を確認してください:
1. 事実関係の正確性
2. 論理的な整合性
3. 不足している視点はないか
ツール別のプロンプトのコツ
ChatGPT でのコツ
特徴:
– 対話の継続性が高い
– 前の会話を覚えている
– プラグイン連携が強力
効果的なプロンプト例:
この会話の中で、私が提供した情報を覚えておいてください。
今後の提案は、この情報を前提に行ってください。
【私の情報】
- 職業:フリーランスデザイナー
- 目標:月収50万円
- 現在の課題:営業が苦手
Claude でのコツ
特徴:
– 長文の理解・生成が得意
– 日本語が自然
– 思考プロセスが透明
効果的なプロンプト例:
以下の長文レポート(5000字)を読んで、
主要なポイントを5つ抽出し、それぞれ200字で説明してください。
また、レポート全体から導かれる結論を300字でまとめてください。
【レポート本文】
...(長文)
Gemini でのコツ
特徴:
– Googleサービスとの連携
– 最新情報へのアクセス
– マルチモーダル対応
効果的なプロンプト例:
Googleドライブの「2025年売上データ.xlsx」を分析して、
前年比の成長率が高い商品カテゴリーTOP3を教えてください。
また、その理由を考察してください。
実践演習:プロンプトを改善してみよう
以下の悪いプロンプトを、学んだテクニックを使って改善してみましょう。
演習1:ビジネスメール
悪い例:
取引先にメール書いて
あなたの改善案を考えてから、下をご覧ください
改善例:
【役割】ビジネスメールのプロ
【タスク】以下の状況に対応するメールを作成
【状況】
- 相手:長年の取引先A社・山田部長
- 内容:納期が2日遅れることのお詫びと説明
- 原因:部品調達の遅延(当社の責任ではない)
- 対策:既に代替案を準備済み
【制約】
- トーン:丁寧だが過度に卑屈にならない
- 長さ:300字程度
- 今後の関係維持を最優先
【構成】
1. 謝罪
2. 状況説明
3. 対策
4. 今後の約束
演習2:学習計画
悪い例:
英語の勉強計画作って
改善例:
【役割】経験豊富な英語学習コーチ
【タスク】3ヶ月の英語学習計画を作成
【現状】
- レベル:TOEIC 600点
- 目標:TOEIC 800点
- 1日の学習時間:平日1時間、週末2時間
- 弱点:リスニング、スピーキング
【制約】
- 無理のない現実的なスケジュール
- 費用は月5,000円以内
- 独学でできる内容
【出力形式】
- 週別の学習内容
- 使用する教材(具体名)
- 進捗確認のタイミング
- モチベーション維持の工夫
プロンプトライブラリ:そのまま使える型
型1:文章作成
【役割】[専門家の役割]として
【タスク】[テーマ]について[文章タイプ]を作成してください
【対象読者】[読者の属性]
【目的】[何を達成したいか]
【文字数】[○○字]
【トーン】[フォーマル/カジュアル/説得的など]
【含めるべき要素】
1. [要素1]
2. [要素2]
3. [要素3]
型2:分析・評価
以下の[対象]を分析し、評価してください。
【分析対象】
[対象の詳細]
【分析の視点】
1. [視点1]
2. [視点2]
3. [視点3]
【出力形式】
1. 概要(100字)
2. 詳細分析(各視点ごと)
3. 総合評価
4. 改善提案
型3:比較検討
以下の選択肢を比較し、最適な選択を推奨してください。
【選択肢】
A: [選択肢Aの詳細]
B: [選択肢Bの詳細]
C: [選択肢Cの詳細]
【評価基準】
1. [基準1](重要度:高)
2. [基準2](重要度:中)
3. [基準3](重要度:低)
【制約条件】
- [制約1]
- [制約2]
【出力形式】
- 比較表
- 推奨案とその理由
- リスクと対策
よくある質問(FAQ)
Q1. プロンプトは長い方が良いですか?
A. 必要十分な長さが理想です。短すぎると情報不足、長すぎると本質が伝わりにくくなります。目安として:
– 簡単なタスク:50-100字
– 標準的なタスク:200-500字
– 複雑なタスク:500-1000字
Q2. 毎回こんなに詳しく書かないとダメですか?
A. いいえ。タスクの重要度によって使い分けましょう。
– 重要な仕事:詳細なプロンプト
– 簡単な質問:シンプルでOK
– 繰り返し作業:テンプレート化して再利用
Q3. 日本語と英語、どちらが良いですか?
A. 2026年現在、日本語で十分です。ChatGPT、Claude、Geminiすべて高品質な日本語対応をしています。ただし、英語の方がわずかに精度が高い場合もあるため、非常に専門的なタスクでは英語も検討する価値があります。
Q4. プロンプトを保存・管理する方法は?
A. 以下の方法がおすすめです:
1. Notionにテンプレート集を作成
2. Googleドキュメントで分類管理
3. 専用のプロンプト管理ツール(PromptPerfectなど)
良いプロンプトは「資産」です。再利用できるようにストックしましょう。
Q5. AIが思った通りの答えを出さない時は?
A. 以下を試してください:
1. 指示を明確にする:具体例を追加
2. 段階的に質問:大きなタスクを小分けに
3. ツールを変える:Claude、ChatGPT、Geminiで試す
4. フィードバックを与える:「もっと具体的に」「別の視点で」
Q6. プロンプトエンジニアリングを学ぶべき?
A. 基本は誰でも習得すべきです。本記事で紹介した初級〜中級テクニックをマスターすれば、日常業務で困ることはありません。上級テクニックは必要に応じて学べばOKです。
Q7. 有料ツールは必要ですか?
A. 最初は無料版で十分です。ただし、以下の場合は有料版を検討:
– 毎日大量に使う
– 仕事で使う
– 高度な機能が必要(画像生成、長文処理など)
Q8. プロンプトのコピーはOK?
A. はい、他の人のプロンプトを参考にするのは推奨されています。ただし、自分の状況に合わせてカスタマイズすることが重要です。
まとめ:プロンプトは「AIとの対話のスキル」
プロンプトエンジニアリングは、特別な技術ではありません。AIに明確に、具体的に伝える——たったそれだけのことです。
今日から実践できる3つのポイント
1. 5つの要素を意識する
– 役割・タスク・コンテキスト・制約条件・出力形式
2. 具体的な数字を入れる
– 「短く」→「200字以内」
– 「いくつか」→「5つ」
3. 例を示す
– 「こんな感じで」を具体例で伝える
継続的な改善のコツ
- 記録する:良かったプロンプトを保存
- 比較する:複数の言い方を試す
- 学ぶ:他の人のプロンプトを参考にする
- 練習する:毎日少しずつ使う
さらに学びを深めるために
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– プロンプトエンジニアリングのベストプラクティス2026
おすすめツール:
– ChatGPT Plus:対話の継続性が高い
– Claude Pro:長文処理が得意
学習コース:
より体系的に学びたい方には、Courseraの「Prompt Engineering for ChatGPT」コースもおすすめです。
プロンプトスキルは、AI時代の必須リテラシーです。今日学んだテクニックを使って、AIとの対話をより豊かなものにしていきましょう。
さあ、今すぐAIツールを開いて、新しいプロンプトを試してみませんか?
本記事は2026年2月時点の情報に基づいて作成されています。AIツールの仕様は日々進化していますので、最新情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。