【ChatGPT深掘り②】プロンプトエンジニアリング実践:効果的な指示の出し方
はじめに
「ChatGPTを使っているけど、思い通りの回答が得られない…」
そんな悩みを抱えていませんか?実は、ChatGPTの回答品質を決めるのは、AIの性能ではなくあなたの指示の出し方です。
前回の記事「【ChatGPT深掘り①】基本設定から始める:GPT-4oの使い分けと最適化」では、ChatGPTの基本設定と各モデルの特徴を解説しました。
今回は、ChatGPT深掘りシリーズ第2弾として、プロンプトエンジニアリングの実践テクニックを徹底解説します。この記事を読み終える頃には、ChatGPTから「まさにこれが欲しかった!」という回答を引き出せるようになるでしょう。
プロンプトエンジニアリングとは?
プロンプトの定義
プロンプト(Prompt)とは、ChatGPTに対する指示文のことです。質問、命令、依頼など、あなたが入力するすべてのテキストがプロンプトにあたります。
そしてプロンプトエンジニアリングとは、AIから望む回答を得るために、効果的なプロンプトを設計・最適化する技術です。
なぜプロンプトが重要なのか
ChatGPTは魔法のように心を読んでくれるわけではありません。同じ質問でも、指示の出し方次第で回答の質は劇的に変わります。
例:曖昧なプロンプト
ブログ記事を書いて
例:明確なプロンプト
30代会社員向けに、ChatGPTを使った業務効率化の方法を解説する
ブログ記事を書いてください。
条件:
- 文字数:2000文字程度
- 構成:導入→3つの活用法→まとめ
- トーン:親しみやすく、専門用語は避ける
- 具体例を各セクションに1つ以上含める
後者のプロンプトでは、ターゲット、テーマ、文字数、構成、トーン、具体例という6つの条件が明確になっています。これにより、ChatGPTは迷うことなく、あなたの意図に沿った回答を生成できます。
プロンプトの基本構造:GOLDENフレームワーク
効果的なプロンプトには、共通する構造があります。2025年に確立されたGOLDENフレームワークは、ChatGPT、Claude、Geminiなど主要なAIモデルで高い効果を発揮します。
GOLDENフレームワークの6要素
| 要素 | 英語 | 説明 | 例 |
|---|---|---|---|
| G | Goal | 目標・成功基準 | 「新商品のキャッチコピーを5案作成」 |
| O | Output | 出力形式・長さ・トーン | 「箇条書き、各15文字以内、ポップな印象」 |
| L | Limits | 制約・ルール・予算 | 「競合他社名は使用しない」 |
| D | Data | 背景情報・参考資料 | 「ターゲットは20代女性、商品は美容ドリンク」 |
| E | Evaluation | 評価基準・判断基準 | 「記憶に残りやすく、商品特徴が伝わること」 |
| N | Next | 次のステップ・代替案 | 「自信がない場合は代替案も提示」 |
GOLDENフレームワークの実践例
タスク:プレゼン資料の構成案作成
# Goal(目標)
来週の経営会議で使用する、新規事業提案のプレゼン資料の構成案を作成してください。
承認を得ることが成功基準です。
# Output(出力形式)
- スライド枚数:10枚程度
- 各スライドのタイトルと要点を箇条書きで
- 想定プレゼン時間:15分
# Limits(制約)
- 専門用語は最小限に(経営陣は技術に詳しくない)
- 競合他社の具体名は出さない
- 初期投資額は5000万円以内で提案
# Data(背景情報)
- 事業内容:AIを活用した顧客サポート自動化サービス
- ターゲット市場:中小企業のカスタマーサポート部門
- 自社の強み:10年のコールセンター運営実績
# Evaluation(評価基準)
- ROIが明確に示されていること
- 競合優位性が伝わること
- 実現可能なスケジュールであること
# Next(次のステップ)
構成案の後、各スライドの詳細内容も作成をお願いする予定です。
このように構造化されたプロンプトを使うことで、ChatGPTは文脈を正確に理解し、期待に沿った回答を生成できます。
回答品質を劇的に上げる7つのテクニック
テクニック1:役割を与える(ロールプレイ)
ChatGPTに特定の役割を与えることで、専門的で的確な回答を得られます。
基本形式
あなたは〇〇の専門家です。
具体例
あなたは10年の経験を持つWebマーケターです。
以下の条件でSEO記事の構成を提案してください。
キーワード:ChatGPT 使い方
ターゲット:AI初心者の会社員
目的:PV獲得とメルマガ登録への誘導
役割設定のコツ
– 経験年数や専門分野を具体的に指定
– 「〇〇として回答してください」より「あなたは〇〇です」の方が効果的
– 複数の専門性を組み合わせることも可能(例:「マーケティングに詳しいエンジニア」)
テクニック2:出力形式を指定する
ChatGPTは、箇条書き、表、マークダウン、JSONなど様々な形式に対応しています。期待する形式を明示することで、後から整形する手間が省けます。
形式指定の例
以下の形式で出力してください:
## 【見出し】
- ポイント1
- ポイント2
- ポイント3
**まとめ**:一言での要約
表形式の指定例
以下の情報を比較表にまとめてください。
| 項目 | ChatGPT Plus | Claude Pro | Gemini Advanced |
|------|-------------|------------|-----------------|
| 月額料金 | | | |
| 主な特徴 | | | |
| おすすめ用途 | | | |
テクニック3:具体例を示す(Few-Shotプロンプティング)
期待する回答の例を1〜3個示すことで、ChatGPTは出力のスタイルや品質を学習します。
Few-Shotプロンプティングの例
以下の形式で、商品のキャッチコピーを作成してください。
【例1】
商品:高機能マットレス
キャッチコピー:「朝が変わる。人生が変わる。」
【例2】
商品:オーガニックコーヒー
キャッチコピー:「一杯に、森の恵みを。」
【あなたのタスク】
商品:AI搭載スマートウォッチ
キャッチコピー:
テクニック4:ステップバイステップで考えさせる(Chain of Thought)
複雑な問題を解く場合、「段階的に考えてください」と指示することで、論理的で正確な回答を得られます。
Chain of Thoughtの例
以下の問題を、ステップバイステップで考えて解決策を提案してください。
問題:
当社のECサイトのカート離脱率が70%と高い状態です。
業界平均は50%程度。原因を分析し、改善策を提案してください。
手順:
1. まず、カート離脱の一般的な原因を列挙
2. 次に、70%という数字から推測される主要因を3つ特定
3. 各要因に対する具体的な改善策を提案
4. 改善策の優先順位と期待される効果を整理
テクニック5:否定条件を明確にする(ネガティブプロンプト)
「〜しないでください」という否定条件を追加することで、不要な情報や望まない表現を排除できます。
ネガティブプロンプトの例
新入社員向けのビジネスマナー研修資料を作成してください。
含めないでください:
- 難しい専門用語やビジネス英語
- 「常識」「当たり前」などの決めつけ表現
- 具体例のない抽象的な説明
- 5年以上前の古い慣習
テクニック6:反復・改善を重ねる(イテレーション)
最初の回答が完璧でなくても問題ありません。対話を通じて回答を改善していくのがChatGPTの強みです。
イテレーションの例
【初回プロンプト】
自己紹介文を書いてください。
【ChatGPTの回答後】
ありがとうございます。以下の点を修正してください:
- もう少しカジュアルなトーンに
- 趣味の部分をもっと詳しく
- 最後に「よろしくお願いします」を追加
【さらに改善】
良くなりました。あと一点、冒頭の挨拶を
「こんにちは!」から「はじめまして!」に変更してください。
効率的なイテレーションのコツ
– 修正点は具体的に伝える
– 一度に複数の修正を依頼してもOK
– 良かった点も伝えると、その部分は維持される
テクニック7:メタプロンプトを活用する
「プロンプトを作成させる」という高度なテクニックです。自分でプロンプトを考えるのが難しい場合に有効です。
ゴールシークプロンプトの例
あなたは優秀なプロンプトエンジニアです。
私の要望に合わせて、最適なプロンプトを作成してください。
プロセス:
1. まず、私が何を達成したいか確認する質問をしてください
2. 私の回答に基づいてプロンプトを作成してください
3. 作成後、改善のための追加質問があれば聞いてください
私の目的:効果的なメールマガジンを書きたい
ChatGPTが質問を投げかけ、対話を通じて最適なプロンプトを一緒に作り上げていくことができます。
用途別プロンプトテンプレート集
ライティング用テンプレート
ブログ記事作成
あなたはSEOに詳しいWebライターです。
以下の条件でブログ記事を作成してください。
【基本情報】
- キーワード:[メインキーワード]
- ターゲット読者:[年代・属性・悩み]
- 記事の目的:[情報提供/商品紹介/問題解決]
【記事仕様】
- 文字数:[目標文字数]
- 構成:導入→本文(3〜5セクション)→まとめ
- トーン:[フォーマル/カジュアル/専門的]
【必須要素】
- 各セクションに具体例を1つ以上
- 読者への問いかけを2〜3回含める
- CTAを記事末尾に配置
【注意点】
- 断定的すぎる表現は避ける
- 他社サービスの批判はしない
メール作成
以下の条件でビジネスメールを作成してください。
【状況】
- 送信相手:[役職・関係性]
- 目的:[依頼/報告/謝罪/確認]
- 背景:[経緯や状況]
【必須項目】
- 件名
- 本文(挨拶→本題→締め)
- 署名
【トーン】
- [丁寧/ややカジュアル/フォーマル]
【文字数】
- [〇〇文字以内]
分析・リサーチ用テンプレート
競合分析
以下の情報をもとに、競合分析レポートを作成してください。
【分析対象】
- 自社:[会社名・主要サービス]
- 競合A:[会社名]
- 競合B:[会社名]
【分析項目】
1. 価格帯の比較
2. 機能・サービスの比較
3. ターゲット顧客の違い
4. マーケティング手法の比較
5. 強み・弱みの分析(SWOT形式)
【出力形式】
- 比較表形式で整理
- 各項目に対する考察を追記
- 最後に自社の差別化ポイントを3つ提案
アイデア出し用テンプレート
ブレインストーミング
以下のテーマについて、アイデアを20個出してください。
【テーマ】
[アイデアを出したいテーマ]
【条件】
- 実現可能性は問わない(突飛なアイデアも歓迎)
- 予算:[制約があれば]
- 期間:[制約があれば]
【出力形式】
各アイデアを以下の形式で:
番号. アイデア名
└ 一言説明(30文字以内)
【追加指示】
20個のうち、特に独創的なものを3つ選んで、
実現に向けた第一歩を提案してください。
よくある失敗パターンと対策
失敗1:指示が曖昧すぎる
NG例
いい感じの記事を書いて
改善例
30代女性向けに、時短料理のコツを紹介する
800文字のブログ記事を書いてください。
レシピは含めず、調理の工夫に焦点を当ててください。
失敗2:一度に複数のタスクを詰め込む
NG例
新商品の企画書を作って、プレゼン資料も作って、
あとSNS投稿文も10パターンお願いします。
改善例
まず、新商品の企画書の構成案を作成してください。
承認後、プレゼン資料の作成に進みます。
【企画書の条件】
- A4で3ページ程度
- 市場分析、商品コンセプト、収益計画を含む
タスクは分割して、一つずつ進めることで品質が向上します。
失敗3:背景情報が不足している
NG例
お詫びメールを書いて
改善例
お詫びメールを書いてください。
【状況】
- 相手:取引先の部長
- 原因:納品が3日遅延した
- 経緯:製造工程でのトラブル
- 対応:特急便で本日発送済み
- 関係性:5年来の取引先で、今回が初めてのトラブル
【トーン】
誠意を持ちつつ、過度に卑屈にならないように
失敗4:修正指示が漠然としている
NG例
なんか違うのでやり直して
改善例
以下の点を修正してください:
1. 冒頭の挨拶をもっとカジュアルに
2. 3段落目の専門用語「〇〇」を噛み砕いた表現に
3. 最後の締めくくりを「〜しましょう」で終わる形に
ChatGPT Plus で使える高度な機能
ChatGPT Plus(月額$20)を使うと、プロンプトエンジニアリングをさらに効率化できる機能が利用できます。
カスタム指示(Custom Instructions)
毎回同じ条件を入力する手間を省けます。「設定」→「カスタム指示」から設定可能です。
設定例
【ChatGPTに知っておいてほしいこと】
- 私はWebマーケターで、SEO記事の執筆が主な業務です
- ターゲットは主に30-40代のビジネスパーソン
- 専門用語より平易な表現を好みます
【回答のスタイル】
- 結論ファーストで回答してください
- 箇条書きを適度に使用してください
- 回答の最後に「確認ポイント」を追記してください
GPTs(カスタムGPT)
特定の用途に特化したGPTを作成・利用できます。プロンプトの条件をあらかじめ組み込んでおくことで、毎回シンプルな指示だけで済むようになります。
活用例
– SEO記事専用GPT:キーワードを入力するだけで構成案を生成
– メール作成GPT:状況を選択式で入力するとメール文を生成
– 議事録GPT:会議メモを貼り付けると整形された議事録を生成
メモリ機能
ChatGPTが過去の会話内容を記憶し、次回以降に活かしてくれる機能です。
活用シーン
– 「私は〇〇業界で働いています」→ 以降の回答に業界知識が反映
– 「出力は常に箇条書きでお願いします」→ 好みのスタイルを維持
– 「専門用語は避けてください」→ 継続的に平易な表現で回答
プロンプトスキルを磨く練習法
ステップ1:基本テンプレートを使い倒す
まずは本記事のテンプレートをそのまま使ってみましょう。実際に使いながら「ここをこう変えたら良くなるかも」という感覚を養います。
ステップ2:比較実験をする
同じタスクに対して異なるプロンプトを試し、結果を比較します。
【実験】自己紹介文の作成
プロンプトA:自己紹介文を書いて
プロンプトB:あなたはコピーライターです。30代営業職の私の
自己紹介文を、印象に残る150文字で書いてください。
→ A と B の結果を比較し、何が違いを生んだか分析
ステップ3:プロンプトライブラリを作る
効果的だったプロンプトは保存しておきましょう。Notionなどのツールで管理すると、後から再利用しやすくなります。
管理項目
– プロンプト本文
– 用途・タスク
– 効果・評価(5段階など)
– 改善メモ
おすすめ学習リソース
プロンプトエンジニアリングをさらに深く学びたい方には、以下のリソースがおすすめです。
- Coursera: Prompt Engineering for ChatGPT(体系的に学べる)
- DeepLearning.AI: ChatGPT Prompt Engineering for Developers(開発者向け)
- OpenAI公式ドキュメント(最新のベストプラクティス)
まとめ
プロンプトエンジニアリングは、ChatGPTを「使える」ツールから「使いこなせる」ツールへと変える鍵です。
本記事のポイント
- GOLDENフレームワークで構造化されたプロンプトを作る
- 7つのテクニック(役割付与、形式指定、具体例、段階思考、否定条件、反復、メタプロンプト)を状況に応じて組み合わせる
- よくある失敗(曖昧、詰め込み、情報不足、漠然とした修正)を避ける
- テンプレートを活用して効率的にプロンプトを作成
- 練習と記録でスキルを継続的に向上させる
プロンプトエンジニアリングは、一度覚えれば一生使えるスキルです。ChatGPTだけでなく、Claude、Geminiなど他のAIでも応用できます。
まずは本記事のテンプレートを使って、今日から実践してみてください。
次回の「【ChatGPT深掘り③】GPTsとカスタム指示:自分専用AIアシスタントの作り方」では、カスタムGPTの作成方法を詳しく解説します。お楽しみに!
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本記事は2026年1月時点の情報に基づいて作成しています。ChatGPTの機能やインターフェースは随時更新されるため、最新情報はOpenAI公式サイトをご確認ください。